民警

□「 timid kiss 」/D
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今、俺の横でぐっすり眠っているヤツの顔をまじまじと眺める。
相変わらずの丹精な顔つき。
この顔で付き合った事のある女が10人前後だってんだからびっくりだ。
そんな男と俺は今日も同じ狭いベッドの中。
同じベッドで一緒に寝るからと言って、毎回行為をするわけじゃない。
今日はお互い疲れていたしそんな気分じゃなかっただけ。
だからいつものように、手を握って眠る。
そうすると何故かお互いよく眠れるらしい。
子供かよ!とお互い笑った。
だが、こいつが俺の隣で寝る前までは不眠症が酷かった。
長年苦しんだアレが、嘘のように今はよく眠れてる。
そのわりに目の下のくまは消えないが…。
眠りついた時から繋がったままの手をそのままに、
もう一方の手でコプチェフの髪に触れた。
ふわりとした手触り。
そのまま鼻先を髪に埋めた。
シャンプーの香りの奥からするコプチェフの、
こいつの甘い香り。
この匂いに癒されてると知ったのはつい最近。
いや。こいつの存在が、俺に安心を与えてくれてる。
それはあの頃から知っていた。

俺を呼ぶ声も、
いつも向けてくれる笑顔も、
触れてくれる手も、
抱きしめてくる腕も
全部。

顔を離して、コプチェフの額に俺の額をくっつけて、

キスした。

触れ合った唇を離して。
鼻先が触れあう距離のまま俺は目を閉じ眠りについた。


コプチェフ、
 コプチェフ…

ありがとう。

いつも感謝してるよ。


「あいしてる…」





「 timid kiss 」

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