Red?orBlue?…Violet?

□プロローグ
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〜セプター4内、宗像side〜


伏見君が吠舞羅を裏切り、この子供を連れて来たとき。
一切のことを忘れてしまった記憶喪失だと聞きました。

私の常に張っている気が緩むような、あどけなさの残る眠っている少年。

確かにいろいろ聞き出そうとはしましたが、伏見君のこと以外一切覚えていませんでしたね。

その為、当然伏見君の言うことしか聞かない、物や建物は壊されてしまい…修理費の請求が大変だったんですよ。

記憶が抜けたことでの炎制御が出来ない、と伏見君は言っていましたが。

18歳、けれどまだ小さな幼稚園児を見ているような気分になります。
この少年、生活が成り立っていない、と来たばかりから思っていましたが…

それは伏見君の生活と同じ生活をしていたらそうにもなるんじゃないかと思うようになりました。

一日の大半を眠って過ごし、前よりもウエストから全体的に細くなりました。

この前抱えたとき、前よりもあっさりと持ち上がりましたからね。

しかし、この前…珍しく目覚めていたんですかね、小さくこう呟いていたんです。

「…生きているものって素晴らしいよね。

鳥とか、草。

猫、犬。

雲も、空も、風も、地も、月も、太陽も…

もちろん、人もね。

みんないっぱい輝いているでしょ?

色に溢れているでしょ?

けどね…そんな中から輝きを失っていくものもあるんだ。

その輝きを失ったものから死んでいってしまうんだ。

それはどんな境遇でも、どんな場所にいても

誰も一緒なんだ

それは、だって君がここに立っているから

自分の足で立ち上がって、生きているから」


そのまま彼は伏見君のところに走って行ってしまった。
だからその言葉の意味は深く理解できていませんが…

全ては彼が知っている

後で教えてもらおうとは思っているんですがね。

焦らして教えてくれませんから。

「…あ、久しぶり、礼司さん」

この呼び方をするのは彼だけだったはずです。

彼の好きなように呼ばせようと思ったら、この呼び方で定着していましたね。

特に気にもしていませんでしたが。

「ようやく目が覚めましたか」

「…うん、ようやく…目が覚醒した。
身体が睡眠を求めなかったから。

礼司さん、暇なら修行してよ。
暇じゃないんだろうけどさ」

彼は子供ゆえになのか、堂々としていて、私に頼みごとが出来る。
…私の思い通りには動かない駒の一つです。

彼の分厚い神経でなければ私に気軽に話しかけ、ましてや頼みごとが出来るなど。

そんなことが出来るわけがありません。

「今回は相手をしましょう。
…けして暇ではありませんが、私の部下たる者が弱々しいのでは話になりません。

たまには相手をして差し上げましょう。

…………本気で、ね」

「僕を殺す気?
本気でなんかやられたら僕死んじゃうよ。
また骨折したら骨がくっつくのに何日掛かるか。

また暇でしょうがなくなっちゃうよ。
僕は暇が嫌いだからね、だから寝てるんだけど。

毎日何かがあるわけじゃないしね。
でも困るのも事実だし」

「確かに貴方以外に困る人もいないでしょうねぇ。
…私としては、困りますがね」

そう言うと、彼の周りを囲う空気が変わった。
圧力感が増し、紫煙が彼を纏う。

左目から炎が現れる。

私のように剣から伝わらせて炎を出す方法もありますが、目、は初めて見るタイプです。

まあ、目は普通火に耐えられませんから。

無理も無いんですけれどね。

抜刀許可は自らにもある、それを解除はしない。
多少のことでは剣は抜きません。

「私は抜刀しません。
どんなやり方でも構いませんよ。
屯所を壊さない程度なら。

……さぁ、掛かってきなさい」

紫煙は具現化し、一体のぬいぐるみに。

パペットのような小さなものですが、膨大な力を感じます。

『さぁ、行くよ』

パペットの口がそう動いた。
その瞬間、彼が動く。

パペットが紫煙に変わり、その紫煙が一瞬にして今度は紫色の鎌に変わる。

その鎌は明らかに彼の身長を易々と超えているものだ。
それを軽々しく持ち上げられる彼の腕力も素晴らしいものだが。

そう考えていると、彼はその鎌を振り上げ、横一線に薙ぎ払った。
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