Red?orBlue?…Violet?

□プロローグ
1ページ/5ページ



〜数珠陰side〜

全ては、ここから始まった。


「おい、十束さん!しっかりしろよ!」


「…お、う…」


「王…?十束さん、他の王にやられたのかよ!?」


「もう良い、八田。もう喋らすな」


「大丈夫だから…すぐ医者呼んで…こんな傷、すぐ治してもらえる」


「ヘーキ…ヘーキ…何とか、なる……。
……ごめん」


目の前で多々良にぃが消えてしまった。
僕は夢だと思いたかった。
温かかった笑顔が浮かんでは消えて。
涙が止まらなかったから。
辛かった。忘れてしまいたかった。
なかったことにしてしまいたかった。


十束 多々良、22歳。
AB型の2月14日生まれのみずがめ座。


吠舞羅のムードメーカーで、ストッパー役。
いつもは緩めな感じだけど、いざという時は、とても頭の回転が速かった。
尊さんと、出雲にぃに一番関わりがあった人。

一番思い出深い人。その温かさで吠舞羅を支えてくれていた。


居なくなって、ようやく気付いた。
多々良にぃの居た場所は、誰にも埋められないって事を。
僕が彼と居た時間は、とても短いものだったけど…。
彼が吠舞羅にとってとても大事なのは、理解していた。


僕は、身体を削った。
力が切れるまで周りの物を焼き払い、身体に秘めきれなかった力を溢れさせた。
溢れてきた涙も、空を切り裂く声も…僕にはエネルギーにしかならなかった。
暴走を始めた紅の炎。













それを止めてくれたのは――――――。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ