Red?orBlue?…Violet?

□第一章・ファーストコンタクト
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〜淡島side〜

あいつを学校に通わせてほしい、と願い出たのは伏見だった。

初めての願いであった…それに、彼のためと熱心に訴えたのも、彼だからなのだろう。

ここまで揺るがせているのも…

伏見と仲が良すぎる、からこそ。


眠っている、王の力にも引けをとらない子供。


もうすぐ学校に行かなければならない時間。
私は彼の部屋の扉をノックした。

「……どうぞ」

聞こえたのは伏見の声だった。
もう伏見が部屋に来ているのか。

「伏見、居たのか」

「…ええ。
こいつは一人じゃ寝れないやつです。
一度眠ってしまえば良いんですけど、眠るまでが大変ですから」

よく見ると、伏見の手は彼の手に繋がれていて離れる気配は無い。

「…もう、学校の時間なんだ。
起こしてやらないと、初日から遅刻なんてあまり良くないだろう」

「…そうでしたね。
氷柱、起きろよ」

そういって伏見の繋がれていない方の手が、数珠陰の肩を揺すった。

「……ん、ん」

「起きろ。
学校、楽しみにしてたんだろ?」

「…ぅー…ん」

彼は瞳を開いて、起き上がった。

「そうだ、学校」

「これが制服よ。
これを着て、ネクタイもきちんとするのよ」

「ありがと、世理」

笑顔で礼を言われる。
微笑んで、答えると彼も笑いながら制服を見つめる。

制服がもらえると、嬉しいのだろうか。

やはり、前から学校に慣れていないと…こんな表情も見せるんだろう。

「世理…少し、外に出てもらえるかな…」

そうか。

彼も確かに子供ではあるが気にはするだろうし、私が居たら着替えづらいだろう。

「分かったわ。
私は朝食を用意してくるけど…
部屋に持ってくればいい?」

「うん。
いつもありがとう。
じゃあ、お願いします」

私は部屋を出て、朝食の準備を始めた。


〜伏見side〜

「追い出しちゃったね」

そういって微笑む氷柱に、

「しょうがないだろ。
あの人だって一応女なんだから。
…そういえば、俺と隊服が似てるんだな」

そういった。

「確かに、隊服似てるね。
猿比古の隊服って、氷杜たちの隊服とまた違うつくりだもんね。

じゃあ僕と同じだ」

嬉しそうに言う氷柱。

嬉しいのだと、純粋に表情に出すお前とは違って、俺は素直に感情を表には出せない。

「同じだな。
…気を使ってくれたのかもしれない。
そんなこと無いだろうけどな」

「意外と気を使ってくれてるよ、みんな。
僕に対しては気づかないようにしてるみたいだけど、バレバレだし。

でもそのことについては感謝してるの。
気を使ってくれてるって分かるから」

学校の制服を着てみて、サイズを確認していた時。

「朝食の用意が出来たわ。
着替え終わったかしら」

「あ、うん。
平気だよ、入って良いよ」

それで副長が持ってきた飯は、少しフルーツが多めのシリアルだった。
(今で言うフルーツグラノーラってやつか)

「…朝からシリアルって、腹減らないのか?

俺だと意外に持たないんだが」

「シリアルは朝食べるものだよ。
美味しいじゃないか、あの甘いコーンフレーク」

そう言いながらフレークを食べ始めている。

まあ、こいつが良いなら俺は良いと思っている。

「…着替えたまま、食うなよ」

「えー?」

妙に首元が開いている。
首元のボタンをしてやると、少し微笑む。

「ありがと」

「ああ。
食い終わったら、バッグ準備してやるから」

学校のバッグには、学校で指定の教科書。

必要な分のノート。

そしてペンホルダー。

元から学びということに関しては人一倍好奇心が強い氷柱には、高校くらいの勉強など造作もないことのようだった。

「これ、中身学校に忘れたりするなよ。

取りに行くのだって面倒な学校なんだからな」

あの学校は、島ひとつを学校にしたような広い面積の学校だった。

行くのに電車が必要で、それに乗れなければ学校にもたどり着けない。

まあ…俺たちは例外だけどな。

力だけで乗り越えることくらいはできる。

「準備、これで出来たか?
こっちは準備が終わったんだが」

「あ、うん。
僕は大丈夫だよ」

服の様子を見て、こう言う。

「服、やっぱり少し大きかったな」

そう言うと、

「たぶん今後のことも考えてくれたんじゃないかなぁと思ってるんだけど」

と氷柱は言った。

「まだやっぱりチビだかr「何か言った?」言ってません」「そうですか」

氷柱の一言が冷たくなった。

これ以上は言うと俺がどうなる事やら。
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