Red?orBlue?…Violet?

□第二章〜Knife〜
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〜八田side〜

…十束さんを殺した王…もしかすると、普通に存在している人間。
例えば、学生…まあ、大人…人間であればどこにだって紛れられる。
だから、大勢の人間が集まる場所にこっそりいたりするんじゃないか?

そう考えた俺は、もう一度調べなおすために十束さんが最期まで持っていた旧式のカメラの映像を見直した。

だが、相手の姿はうっすらとしていて完全に見えない。
俺達吠舞羅が総力を挙げて街を探し回っても見つからない。

「…八田さん、学園島はどうでしょう?」

鎌本がふと口に出した。
学園島?…あの学校がある場所か。
確かに人も大勢いる。もしかしたら、いるかもしれない。

「鎌本!でかしたぞ」

学園島に乗り込むために、学園島の学校について調べた。
学校に入るには、学生証の代わりとなる端末が必要になる、と学校のホームページに書かれていた。
ご丁寧に書いてあるもんだ。

「端末なんてねぇからな…仕方ねぇか」

学校の近くをうろついていた学生を気絶させて端末を奪い取った。

端末をかざすところに端末を当てる。

ピピッ

あの学生の顔写真がスクリーンに映され、ゲートが開いた。

あいつのことも…調べてやらないと。
あいつがいないのは、俺たちには辛い。


〜伏見side〜

「…ハァ」

溜息が漏れた。いや、これは本当に意味がわからない。

氷柱がいない状態なのに、俺はあの人に付き合わされわざわざ生徒の情報を教えろって言いにこなきゃいけない。

相手だってバカじゃない。タダで教えると思うか?
後ろについている秋山と弁財に声をかけ、俺は部屋を出た。

パソコンが置いてある部屋があるのは俺にもわかっていた。
そこの部屋の扉を開ける。

そこにいた生徒には少し眠ってもらい、パソコンをいじる。
パスワードはハックすればすぐ割り出せる。
パスを解いて生徒の全情報を盗み出す。自分の端末に全データを送っておく。
ばれると面倒だし。

全生徒の顔写真はある。学生証を作るための証明写真だろう。
あの事件の犯人の顔と、全生徒の顔を照合していった。
シラミ潰しだ。しかも多い。
だが、俺はそのパソコンに映し出された言葉に苛立ちが募った。

「…チッ」

この部屋の窓からはちょうど中庭が見える。
そこに見慣れた影を見つけた。
俺は部屋を出て中庭に向かった。


〜八田side〜

鎌本と生徒のやつらに聞きまわっていると、鎌本がこう言った。

「八田さん、さっきから野郎にしか聞いてないじゃないですか。
女子とかにも聞いてみましょうよ」

「いや、大丈夫だろ」

俺は即答で返した。
仕方ねぇだろ…女となんて話しづらくて仕方ねぇ。

「おい!お前ら!」

鎌本が歩いていた女子二人に声をかけた。

女子生徒が怖がっているのは表情で分かった。

俺は思わず鎌本を殴った。

「お、お、女に手上げんじゃねぇ!ブッ殺すぞ!」

「い、いや…手は上げてないんすけど…ぅっ」

「わ、悪かったな!」

俺がそう言うと、女子生徒は走り去っていく。

「おいおい…チンピラが二人揃って学校で怒鳴り散らしてんじゃねぇーよ、美咲」

代わりに胸糞わりぃ奴が来ちまった。

「…サル!」

「何でこんなとこにいんだ?ついにその足りねぇ頭を活かそうってか?
まぁ、美咲は俺と違って馬鹿だったからなぁ?
勉強やんなきゃ、獣と同じだぜ」

「るっせぇ!あいつをどこにやりやがった!
あいつを返せ!」

「んん〜?あいつ、じゃ分かんないんだよなぁ

名前があるだろ?それくらい言ってやれよ。
記憶喪失だって名前も呼ばれなきゃ悲しいだろ?」

サルは俺を挑発するように何度も何度も俺の精神を逆撫でしてきやがる。

おかげでイライラしてきちまった。

「そういえば…名前っていやぁ、お前もこう呼ばれるの嫌いだったよなぁ?
みぃ、さぁ、きぃ?」

「テメェ…上等だ!こねぇんならこっちから行くぜ!」

スケボーで飛びかかった。

青の炎がサルの周りに浮かび上がる。

「…伏見、緊急抜刀!」

刀が抜かれ、俺のスケボーとぶつかる。
そこからもう一度、もう一度、とぶつかり合いが始まる。
途中押し返される時もあったが、刀で受け続けるのには限界があるはず。


〜氷柱side〜

…ふと、感じた。青い炎の感覚。

猿比古が、誰かと戦ってる。
中庭の方を見ると、赤い炎と青い炎が何度も何度も衝突していた。
不思議なことに、ここの学生は神経が皆図太いようで、こんな音がしてても誰一人気に留める様子はない。

クロが、ずっと僕を抱えて学校に向かっていてくれたらしい。

「ありがと、クロ」

そう言うと、少し驚いたような表情で、

「…目を覚ましたのか」

と、言った。

「うん、お陰さまで。ありがとう。
ここで降ろして」

行くのか、とクロが確認をしてくる。

「もちろん。僕の仲間の問題だからね。
すぐもどるから、シロ君たちと一緒にいてくれる?」

「分かった。ではな」

クロと別れ、中庭まで全力疾走した。
何故かその時は全力疾走できた。
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