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□過去拍手SS
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☆twilightの拍手夢(語り多)。お相手はジャスパー。


夢主設定→アリス成り代わり。予知能力有り。

夢主の詳細設定は2月19日の日記を参照のほど。













時は刻々と過ぎゆく。





そのものの意志とは関係なく、


ただ為すがまま、在るがままに移りゆくもの。


その儚い砂時計の中で、落ちては沈み


また落ちて沈んでいくのが――我々だ。


繰り返し、繰り返し、閉ざされた世界の中で


永久に廻り続ける。


悠久の時の中に置き去りにされるモノ。


それが我ら――“ヴァンパイア”。










私がその“ヴァンパイア”になってもうずいぶん時が流れたように思う。


冷たい身体にも、凍てついた心にも慣れた。


ヴァンパイアになることで得られた幸せは確かにある。


大切なものもたくさんできた。


それでも、それでは満たされないものがあることも




――また事実。


けど今は、・・・










「アリス?」


やさしい声で自分の名前を呼ばれて深い思考から引き戻される。


視線を上げるとジャスパーがこちらをうろんげに覗き込んでいた。


・・・随分と考え込んでしまっていたようだ。


さらに視界を広げるとリビングに集まった家族全員が首をかしげて怪訝そうにこちらを見ているのに気づいて、気まずさから苦笑を返した。


「どうした?・・・なにか見えたのか?」


私の肩に腕回して抱きしめたジャスパーが心配そうに問う。


私は小さく首を振った。


『違うの、ただ・・・』


――少し寂しくなってしまって・・・


ふいに口から出そうになった言葉を呑み込んだ。


ジャスパーは眉をひそめて私を見ている。


多分私の心の不安を感じたんだろう。


部屋の奥の方に座っているエドワードも、もの言いたげに私を見ていた。


『大丈夫、だよ?』


私はなるべく平静を装って言った。


そしてジャスパーが何事かを返す前に、彼の肩口に顔をうずめる。


乱れた心を落ち着かせようとゆっくりと息を吐いてみた。


息をついたジャスパーが、それでも優しい手つきで頭を撫でてくれる。


こんなとき私は今の私でよかったんだと心から思えるんだ。








さみしいのもほんと。


つらいのもほんと。


“死にたい”と思ったこともたくさんある。


けど、私にはこんなにも暖かくてやさしい家族がいる。


そしてなにより大切で愛しい彼がいる。


だから私はここにいるんだ。







大好きなみんなのもとに。






*END*


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