『ANGEL and DEVIL』
□天使と悪魔の逸話
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「悟浄」
先に口を開いたのは、悟空。
「俺の、サタンとしての命令」
その言葉に、悟浄は顔を埋めていた悟空の肩口から顔を上げて、すぐ前にある悟空の顔を見つめた。
それは、この数十年間魔界を治めてきたサタンの表情。
「すべての悪魔を、地上に下ろす。一人残らず、だ。魔界を捨てて、すべての悪魔は地上を新たな新天地とする。天界にもその意思を伝え、共に地上で生きることを伝えよ」
それが、サタンとしての最後の言葉だった。
サタンの言葉に、すべての悪魔は従った。
地上への扉が開かれ、すべての悪魔が我先にと地上へと下りていく。
天界でも魔界と同じように崩壊が進み、悪魔同様に天使たちも地上へと降り立っている。
すでに、天界は崩壊した。
(三蔵もちゃんと地上に着いたかな………)
玉座に腰掛けながら、思うことは天界の統率者。
すでに、すべての天使は地上に降り立ったとの報告を聞いている。
八戒も傍にいるから、三蔵はきっと大丈夫。
「悟空、残っていた悪魔はすべて地上に下りた。後は俺たちだけだ」
「………わかった。悟浄、ご苦労様」
そうして、玉座を後にした。