『Everlasting』

□3年後
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それから、3年後。








「おや?珍しいね。こんなへんぴなところに用事かい?」
「あ、はい。そんなところです」

背中に籠を抱えていた老婆が、村のほうへと進む人物に声を掛けた。
その人物は、野菜が溢れんばかりに入っている老婆の籠をその背中から取って、自分の背中に背負った。

「方向一緒ですよね?運びますよ」
「おやおや、ありがとう。今時、礼儀のなった人だね」

老婆が礼を言うと、笑顔でそれに答える。
背負った荷物をよっと背負いなおして、老婆と共に村までの道のりを進んだ。





村まで辿り着き、老婆の家まで荷物を運んだ。

「ありがとうね、助かったよ」
「いえいえ、どういたしまして。あの………この村は、エバンという名前で合っていますよね?」
「あぁ、エバン村だよ。革命が起こるまでは、貧しさに餓死する人も多かったくらいの村だった。この3年間で、とても変わったよ。小さいけれど、学校も出来たんだよ?」
「そう……なんですか」

老婆の言葉に、その人は笑顔を浮かべた。
それは心から嬉しそうな笑みで、老婆もつられるように笑みを向けた。

「用事が何かは知らないけれど、学校でも見に行っては?あそこが村で一番情報が集まる場所だし、若い先生もいるからね。まあ、村人以外は珍しいから子供らに囲まれるかもしれないけど」
「そうですね………。いえ、その学校、行ってみようと思います」

それでは、と言うと、もう一度老婆にお礼を言われてからその場を後にした。





 
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