Short novels

□Borderline Age.18
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周りには白い霧が立ち込めている。
自然に生じたものではないそれは、わずかに青がかった不気味な色を醸し出している。

「うわ〜……。これ、合流するのに時間かかりそう……」

そう呟いたのは悟空。
現在いる場所は、いつもどおりの敵の襲来に夢中になっている間に迷い込んでしまった森の中。
妖怪たちはもうだいぶ前に片付けてしまったけれども、ここまでの道のりもわからなければここが何処かもわからない。
ようは、迷子。

「しかも、変な霧まで………」

もはや当てずっぽうで進む森の中。
最初は軽い気持ちで進んでいたこの森も、先ほどから立ち込めだした霧が悟空の不安を掻き立てている。
その霧はある一定の場所から湧き出るように周りに広がり、それは決して自然に現れたものではないことを物語っている。

「あ〜あ……。これは、戻ったらハリセン一発じゃ済まなさそう……」

その光景を想像して、思わず溜め息がこぼれる。
自分のせいだから仕方が無いとはいえ、意外にも脳天に響くハリセンの嵐は結構つらいものがある。

「まあ、悩んでもしょうがないし!」

元来、楽天的な考えの持ち主だ。
なるようになる、と霧が濃くなってきた森の中をずんずんと進んでいった。







「あっ!!」

ようやく立ち込める霧から抜け出し、それと同時に木々ばかりだった景色からも抜け出した。
目の前には草原が広がり、少し先には小さいながらも町らしきものが見えている。
妖怪たちと遭遇する前に八戒が「次の町は森を抜けたところにあるんですよ」と言っていたから、見えている町は次の目的地に間違いないだろう。
周りを見渡してみても3人の姿は見当たらなかった。

「う〜ん………」

ここで待つか、それとも先に町まで行ってそこで待つか。
町まで行けば食べ物や宿はあるが、あいにく大蔵大臣と離れたとあっては町まで行ってもそれらにありつくことは出来ない。

「どうしよ………」

とりあえずはその場に腰を下ろして、森を歩き回って疲れた体を近くにある木の幹に寄りかからせた。
腕を組んで、これからどうしようかと頭の中で思案する。



 
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