おお振り

□プロローグ
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高校入試に向かって周りが勉強に精を出し始めていた頃。
そんな時でも俺は野球のことしか考えてなくて。

自分でも野球馬鹿だなあ、とぼーっと呪文のような古典の授業を聞きながら思っていた。

「(うおっ!?)」

そんなことを思っていると、俺の制服のポケットから微弱な振動と音が伝わってきた。

やべ、サイレントにするの忘れてた

慌ててサイドキーを押して、恐る恐る教師を見ると全く気づいておらず、今ほど国語担当が年配者で良かったと思ったことはなかった。

くすくすと笑い声が起きる。
……周りのクラスメートの耳は誤魔化せなかったか。

ったく、誰だよ!

メールが届いたらしく、差出人を見れば、同じクラスの男子から。

そいつの方をぎろりと睨めば、バイブの音に気づいたらしく手を合わせて口パクで謝っていた。

目をそらして、本文を見れば何やらURLと短い誘いの言葉。


―――――――――
From洋介
―――――――――
よかったら登録して
くんない?
ちなみに無料だよ

http://…………
―――――――――


ふーんコミュニティーサイトね……。
確かクラスの携帯を持っているやつが何人かやっていたはずだ。

会員数もかなり多い大手のサイト。
それを眺めていると授業に対する暇さも合わせてか、つい登録してしまった。

直後に届く御礼状のようなメルマガ。
ふと送って来たやつに目を向けると……ウインクしてた。

感謝のつもりのようだが、野郎のウインクを見て誰が喜ぶと思っているんだか。

登録したサイトもぶっちゃけるとやり方が分からなかったので、ブラウザを閉じて携帯をこっそりとバッグの中にしまった。


今度は先程のようにならないように電源を切って。



プロローグという名の災難


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