小説(ラハフロ以外)
□涙の雫
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※ネタバレ注意!エンディングのセリフは、そっくりそのまま使用しています。(「」内)
ただし、改行などの区切りは勝手に入れてます。
まだエディングを見てないかたは注意です。
「」以外の部分はわたしの妄想です。
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目の前には、一輪のユイエの花が揺れていた。
「これで天使見習いフロンの存在は罪とともに消えた・・・」
ラミントンの声が、ラハールの耳には遠く響く。
何が起こったのか、理解できない。
この現実は、なんだ?
フロンは・・・どこへ行ってしまったのだ?
ラハールは信じられないように、
目を見開いて、ただただ目の前の花を見つめていた。
「フロン・・・。おい、フロン・・・。なにをしているのだ・・・?」
ラハールは膝を折って、ユイエの花へ屈みこむ。
ユイエの白い花弁は、フロンの笑顔と重なって、溶ける。
今更、気付いた。
自分がどれほど、この天使を愛していたか。
どれほど深く深く、大切に思っていたのか・・・。
しかしそれを伝えようにも、彼女はもう、いない。
いなくなってから、気付いてしまったのだ・・・。
そしてまた、大切な愛を失ってしまった過去の記憶が、
渦となってラハールの心に蘇る。
ずっと封印していた、悲しい記憶が。
絶えられなくなった想いは、
言の葉となって、後から後から溢れ出る。
「だれが、こんなことをしろといった?
お前も母上と一緒なのか?オレさまをおいていくのか?
オレさまは許可してないぞ?
なのに、なぜ勝手にいなくなってしまうのだ!」
胸が、痛い。
心臓を鷲摑みにされ、絞り上げられているようだ。
血液がふつふつと沸騰し、全身を逆流する。
そのわりに、足元は覚束なく頼りなく。
フロンがいない、ただそれだけなのに。
こんなにも、辛い・・・。
「これがお前のいう愛なのか!?
こんなものが愛というなら、オレさまは一生、愛など認めないぞ!」
「殿下・・・」
エトナが心配そうに手を差し伸べ、迷うように空を掴む。
他の面々も、言葉を発することができないでいた。
ラハールの激情を目の当たりにし、誰も動けないのだ。
「魔王ラハールよ。わたしが憎いかね?」
その中で、まっすぐラハールを見つめる人物が、一人。
変わらない表情からは、心中が読み取れない。
ラハールは、燃えるような瞳でラミントンを見据えた。