小説(ラハフロ以外)

□誰が為に鐘は鳴る
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でも、仕事は仕事よ。
あたしは、いつも通り、書類の束を抱えて、殿下の部屋のドアをノックした。

―――コンコンコンッ。

しばらく待つ。
が、返事がない。

まさか、逃げられた!?
書類がたまってるのに!!

あたしは勢いよくドアを開けた。
殿下は、ちゃんと、部屋にいた。
椅子に座ったまま、机の上につっぷして。

そうっと近づいて覗き込むと、気持ちよさそうに眠っていた。

叩き起こそうと、手が伸びて―――・・・
そのまま、なんとなく殿下の寝顔を眺めていた。

こんな近くで、殿下の顔をまじまじと見たのは初めてかも。

寝てると、けっこーカワイイかも。
起きてるときは、クソ生意気だけどねー。

無意識に、すっと手が伸びた。
おそるおそる、殿下の髪を触ってみる。

気付かれない。

それをいいことに、もっと大胆になる。
おでこ、頬を巡り、唇にそっと触れた。

「う・・・うぅむ」

殿下が身じろいだ。
目が覚めたかと思って、慌てて手を引っ込める。
頭の中に、いろんな言い訳の言葉がぐるぐる回る。

でも、殿下は目を覚まさなかった。

あたしはホッとした。
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