小説(ラハフロ以外)

□桜吹雪
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舞い散る花びらの落ちる音さえ聞こえそうな静かな春の雪の中で、自分の心臓の音だけが鳴り響いているように感じた。
しかしそのうち、抱きしめられたラハールの胸から伝わる熱も早鐘を打っているのに気づいて、それが意外で、見上げると照れたように笑い返された。
エトナもつられて、優しく微笑む。

「行くか」
その言葉に、ほっとしたような名残おしいような気持ちで、頷く。
並んで歩きながら、手を取られた。
恥ずかしかったが、嫌ではなかったので、抵抗しなかった。
そっとラハールの横顔を盗み見ると、心なしか赤くなっているように感じた。
「・・・照れてるんですか?」
「ばっ・・・バカもの!そんなこと、口に出して言うな・・・!!」
赤くなるラハールに、愛おしさが込み上げてきた。

「・・・ん?なんだ、このゴツゴツしたものは・・・」
「あ」
どこに隠していたのか、エトナの服から、さまざまな武器がこぼれ落ちた。
銃に槍、剣までも―――。
「あはは〜・・・。こんなとこに呼び出すから、決闘かと思ったんですよ〜」
エトナは、言い訳をしながらあとずさった。
ラハールはため息をついた。
「まったく、お前というやつは・・・。
こんな物騒な女を好きになる物好きな男は、オレさまくらいのものだな」
照れ隠しに早足で歩き出すラハールに、エトナは追いつきざま、耳元で何かを囁いた。
それを聞いたラハールは、片耳を押さえて、真っ赤になる。
そんなラハールの反応に満足げに微笑み、エトナは先に駆け出した。
あとには、花びらに包まれたラハールが、残された温かい言葉を反芻していた。


「・・・じゃあ、逃がさないように大事にしますよ」


END


あとがき

初めて甘いラハエトにチャレンジしてみました。
何故かラハエトだと3人称で書くのに苦労します。
文章、ちょっとギクシャク気味で読みにくかったらゴメンナサイ。
いつもラハフロばかりなので、たまには気分転換に違うカップリングもいいかも、と思って書いてみました☆
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