小説(ラハフロ以外)

□星降る夜に逢いましょう
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悪戯な風がラミントンの髪をフロンのそれと絡み合わせた。
ラミントンはそれを手に取り、からみ合った髪を器用に解していく。
ラミントンの指は細くて長い綺麗な指で、フロンはつい見惚れてしまった。
綺麗なだけではなく、とっても優しくて温かいってことも、フロンだけは知っていた。
「さあ、取れたよ」
「ありがとうございます」
しかしラミントンはフロンの髪を離さず、一筋掬い取って口付けた。
ラミントンの意外な行動と見つめられる視線は、フロンの頬をほんのり赤く染めた。
「そ、そ、それより大天使さまっ。
こんな時間に宮殿を抜け出してきて、大丈夫なんですか・・・?」
照れ隠しに出した声は、予想以上にうわずっていて。
フロンは恥ずかしそうに俯きながら、じりじりとラミントンから身を離していった。
「さぁ・・・」
ラミントンはフロンの様子を楽しんでいるようで、
「今頃、大騒ぎかもね」
と、のんびりと言った。
ラミントンはフロンと並んで星空を見上げたっきり、それから何も言わなくなってしまった。
フロンも仕方なく、ラミントンを横に感じながら、黙って星空を見上げた。


こうやってラミントンが突然フロンを訪ねて来ることは珍しいことではなかった。
が、フロンはラミントンの意思を図り兼ねていた。

ラミントンは、どうしてわざわざ宮殿を抜け出すなんて危険を冒してまで、自分のところに訪ねて来るのか。
しかも、こんな夜更けに・・・。
ラミントンのような身分のものなら、決して容易に出来るはずはないのだ。


フロンは気づかれないように、そっとラミントンを盗み見た。
しかし、ラミントンの横顔からは、いつもの穏やかな様子しか汲み取れなかった。
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