小説(ラハフロ以外)

□星降る夜に逢いましょう
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「どこか、遠くへ行きたいね」
フロンの気持ちを知ってか知らずか、ラミントンは独り言のように呟いた。
「旅行ですか?」
フロンが問うと、ラミントンはフロンの方へ身をかがませ、
「その時は、一緒に来てくれるかい?」
「え・・・っ?」
フロンは、一瞬息を呑んだ。

いつもとは違う真剣な眼差し。
熱い声。

しかしそれは、一瞬で掻き消えて。

すぐに、温かい陽だまりのようないつものラミントンに戻った。
「冗談だよ」
と、ラミントンは笑う。
フロンもつられて笑った。

ほっとしたような、名残惜しいような。

「大天使さまも、冗談をおっしゃるんですね」
「わたしだって、冗談くらい、言うよ」
そういって、ラミントンは、フロンの頬へ片手の掌を添えた。

どきん。
フロンの胸が、小さく跳ねた。

「フロン・・・。わたしがお前を、どんなに大切に想っているか、お前は知らないだろう。
お前が望むなら、このわたしの身分・・・いや、命すら差し出しても惜しくはないだろう。
・・・愛しているよ・・・」

え、え、え、え、ええーーーーーっ?!

あまりにも突然で濃密な愛の告白に、フロンの意識はぶっ飛んでしまった。
まるで体中の血が沸騰しているみたいに、熱い。
顔どころか全身から熱が噴出して、力も抜けていく。

ついに立っていられなくて、しゃがみ込みそうになるのを、ラミントンに抱きとめられた。

「ひゃあっ・・・」
「大丈夫かい?フロン」
「はっ、はい・・・。
えっと、大天使さま・・・?・・・ちょっと、近いんですけど・・・」
フロンはまともにラミントンの顔を見れなかった。
ラミントンの顔が、引っ付きそうなくらい、すぐ傍にあったからだ。
ラミントンはフロンを面白そうに眺め、ゆっくりと身を離した。
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