小説(ラハフロ以外)

□決意
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「大天使さま・・・?」
再び、フロンが気遣うように声を掛ける。
「あ、ああ。すまない」
「お疲れのようですね。少し、座って休んでください」

フロンはきょろきょろと辺りを見回し、
日当たりのいい場所に置いてあるベンチを見つけた。

「ほら、あそこがちょうどいいですよ」
ベンチを指し示す。
ラミントンはそんなフロンの優しさがうれしかった。
フロンの導くままに、ベンチへ腰を降ろした。


「今日は、とっても気持ちのいい日ですね。
お日様に当たって、緑がキラキラしてます。とってもキレイ・・・」
フロンがうれしそうに笑うのを、ラミントンは目を細めて見た。

「ここは、とても美しい場所だ」
「はい」
「よく、見ておくのだよ、フロン」
「え・・・?」
ラミントンの言葉の意味がよく分からず、フロンは問い返す。
が、ラミントンは何も言わず、立ち上がった。
すっと手を伸ばすと、たちまち小鳥が集まってきた。
小鳥たちが舞う、その中で、
ラミントンの銀髪がお日様の光にキラキラと輝いて見えた。
その光景は、とても美しかった。

「よく、見ておいで。お前が、これまで育った、この美しい世界を・・・」

訳が分からぬままうなづくフロンを、
ラミントンは寂しそうに見つめた。
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