CP ーotherー

□ひまわり
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それは、夏の太陽に似ている。






今までこの仕事をしてきて、幸福だと思ったことがなかった。
厭だとか止めたいとかは思わない。
好きだし、人助けを出来て幸せだと思う。
でも、



少し、寂しかった。






「たっだいまぁ」
「お帰りひめのん」
「あー疲れた。今日3時間連続で体育だったの。本当有りえない」
「うわぁ。俺ならサボるな」
「駄目じゃん明神さん。もっと弱くなっちゃうよ?」
「え!?弱いのかよ俺は!つうか今関係ないって!」
「あっははははっ」






案内した後、また一人に戻ってしまう瞬間。
勿論うたかた荘のみんなが居ると分かっているが。

ふと、寂しいと感じていた。
本能的に自分は一人で生きなければならないと感じることもあった。


案内屋は、他人に迷惑がかかる。






「お帰りマイスゥイート!」
「た、ただいま」
「痛ッてェ!こら殴んじゃねーよガク!」
「ひめのんの半径1m以内に入ったら殴るといっただろうが。お前が悪い」
「そんなの知るか!俺は聞いてねぇって」
「ああもうお前なんかどうでも良いよどっか行ってろ。さぁひめのん」
「えぇと――明神さーん。先行ってますよ――」
「お、おーぅ」






いつでも君は手を差し伸べてくれるね。


俺の側は危険なのに、君は逃げずに居てくれる。
何でもない遣り取り。
それを思い出す度、俺は淋しさを吹っ切れるよ。






「ったくまだ腹痛ェよ――」
「あはは、やっぱり弱いですねぇ」
「こーら、あんまり言うなよ。言霊が宿ったらどーすんだ」
「宿る前に明神は本当に弱いって」
「エージまでか!?」
「ひめのんは真実を語る天使――」
「テメェの言い分はいちいちムカつくんだよ!」
「あははははっ」






短い間だけの付き合いかも知れない。


明日にはもう、君は居なくなっているかも分からない

けど。






「――明神さん?どうしたんですか」
「あ?ああ、いや――」





この笑顔がずっと側に有るとも分からないけど。






「――ひめのん」
「はい?何で」






暫くは、この太陽みたいな光を離したくない。






「みみみみ明神さん!?」
「0.1秒以内にひめのんから離れろッ!!0.1!死ねやコノヤロゥ!!」
「おーい、明神ーー?頭大丈夫か?」
「単に腹痛に耐えかねずに倒されたんじゃねぇの?」





それは、地上の太陽に似ていて。


2006.06.17.

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