CP ーotherー

□Sexy Back
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準備は良い?








アパートメントの前の奇妙な男は、僕に付いた奴なのか。
全てに対して敏感になっている今、何もかもにビクついてしまう。



何でもないんだろう。そう自分に言い聞かせる。








鏡の裏。
ベッドの下。
そしてドアのマスキングテープとドアノブに乗せる水の入ったグラス。
部屋を見渡して確認する。






「準備は良い?」








薄暗い中、僕は彼女を見付けた。
後ろ姿だけだったが、眼が離せなくなる程の艶。



振り返った。そして少しずつ人混みの中へと僕を誘う。






柱の影で踊る人影。
ミラーボール。
音楽。



彼女を、捕らえよう。








わざと行きにくい路を。
わざと行きにくい場所を。
其処彼処で絡み合う人々を横目で見て。



さあ、捕えに来て。






ゆっくりとドアを開けると、グラスの割れる音がしない。





―――――誰だ。





ジャケットから小さな黒い箱を出す。
丹念に、部屋を探る。






鏡、ビンゴ。
ベッド、ビンゴ。






「それじゃ、行くぞ」








流石、すぐに気付いたらしい。
ならばヘッドフォンもパソコンもいらない。



道具をトランクに入れる。さっさと逃げて次の作戦を。






さて、私を捕まられるのかしら?








ソファの上の乱れた人々。
何者かを待つ人々。



ああ、その背中に触れたい。あの時と同じ様に。






彼女は消えた。無機質な金属製の扉達。
一つ目を開ける。
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