CP ーotherー

□The Reason
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ロバート・ステイズモアは入ってきた客を見て、心の中で溜め息を付いた。




薄手のパーカーにジーンズ。いかにも貧乏学生といった感じである。






「いらっしゃい」






どうせ眺めるだけで帰るのだろう。




男は無表情に質草を見ている。






ロバートはまた、心の中で溜め息を付く。








ふと、






何かの予感がした。








視線をアッパー・ストリートに移した瞬間、車に女性が撥ね飛ばされたのが視界に入った。






「なっ――」






何てものを見てしまったんだ!








手にしていた帳簿を適当に引き出しに突っ込み―――――こういう時だけ行動が妙に緩慢で苛々する―――――、ロバートはアッパー・ストリートへ走った。











後ろを、振り返らず。












クリスは質屋の店主が予想通り外へ出て行ったのを見て、計画通りに動き始める。




手袋を嵌め、店の裏口を開けた。






「ダン、早く入れ。さっさと終わりにして逃げちまおう」






外で待っていたダンはにっこりと笑い、内へ侵入する。






「さぁて、開くかな――」
「僕の作る合鍵は万能だって何度も言ってるだろ」






子供の様にはしゃいで金庫―――――つまり、まだ持ち主の物である質草が置いてある処だ―――――が開くのに喜ぶクリスを横目で見、ダンはバックパックの中からディスクを取り出す。




監視カメラの記録ディスクを抜き、ダンの作った方を入れる。画面には無人の質屋が映る。






「所詮僕らは1と0の世界の住人なのさ。さよなら、現在の僕達」
「つまんねぇ事言ってねぇで、行くぞ」






クリスは手袋の指先を噛んではずしていった。






「物は?」
「この通り。レッド・スターライト、只今より所有権は俺達に移譲されました」






パーカーのポケットから、輝く大粒の宝石が頭を出す。






「さて、そろそろあの店主も戻るから、行くぜ」








そしてクリスとダンは裏口から出て行く。










後ろを、振り返らず。
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