CP ーotherー
□The Reason
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俺は完璧な人間じゃないんだ。
しなきゃ良かったと思う事は、沢山ある。
目の前で吹き飛ぶ女性を見た瞬間、ダグラスはただ、ああ面倒だとしか感じなかった。
「あーあ、やっちまったよ―――――」
ラジオから流れる歌を口ずさむ、
ちらりと右を見た、
前に向き直る、
左に人が、
女性。
彼女の顔は、もう一生忘れないだろう。
「面倒だなぁ――、警察来る前に逃げとこう」
既に野次馬が周囲に集まっており、ダグラスに冷ややかな視線を浴びせ、女性を見て涙を浮かべる。一部携帯電話で話している者が居る。どうせ911だろう。
―――――一応、見てみるか。
ダグラスはゆっくりと、車から降りる。
女性は意外と近くに、まるで寝ているかの様に倒れていた。外傷も血もない。
良かった良かった、か。
やっと遠くからサイレンの音が響いて来たので、ダグラスは車に戻りさっさと猛スピードで逃げ出した。
勿論、青いライトを閃かせながらプラウル・カーが追ってくることを見越してのことだ。
「上手く逃げろよ、エヴァン」
ダグラスは走り去る。
後ろを、振り返らずに。