CP ーotherー
□恋人たちに5のお題
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「…はぁ?」
突拍子もないその答えに、サンジは気の抜けた声を吐き出す。
「いや、さっき見てたら気が付いた」
突拍子もないことをのたまった剣士、ゾロは、おもむろに立ち上がるとサンジに歩み寄った。
「な、何だよ…」
「いいから右手貸せ」
しぶしぶ出されたサンジの右手に、ゾロは自分の左手を重ね合わせる。
「ほら、な」
ぴったりと重なった掌の大きさはそれほど変わりはしなかったけれど。毎日食事を作る為の手と刀を握るための手では、明らかにサンジの手の方が華奢だった。
白く繊細で、水仕事に酷使され続けた冷たい手。
太く節くれ立った、触れているだけでも握り胼胝が分かる温かい手。
――双方とも同じ、命を扱う手なのに。
温かい方から冷たい方へ、熱は流れ込む。
殴る叩く握る触れるなぞる
数える事なんて出来ない程の動作がこの手によって生み出された。
いつか誰かを傷付けたのも、この腕を引き寄せて抱き締めたのも同じ、この手。
――不意に、その節くれ立った指が自分の中で蠢いている感覚がフラッシュバックして、サンジは火傷でもしたかの様に手を引っ込めた。
「もっ、もういいだろ!暇なら片付け手伝えクソマリモ」
紅くなった顔を必死に誤魔化しながら皿を運ぼうとした、が。
「よくねぇ」
素早く腕を引かれて。気付いたときにはもうしっかりと腰に手が回されていた。
「腰も細いんだよな」
「なっ、にしてんだ馬鹿!」
サンジはその拘束から逃れようともがくが、ゾロの腕力の前では無意味だった。
「オロすぞテメェ」
「落ち着けよ」
殴りかかろうとしたサンジの手を取って口付ける。
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