CP ーotherー

□恋人たちに5のお題
4ページ/16ページ

 




「折角、お前の身体の中でまだ俺が知らない部分を発見出来たんだ。




 味見させろよ、コック」


低い声で不敵に笑ってみせる。
その笑みのまま、熱い舌が拳の表面をなぞる。

―――くらり。

理屈など通用しない、抑え切れない熱を予感してしまう躰。


…もうどうでも良いや、なんて。
いっそ身を任せてしまえなどと考えている自分はもう相当、終わっている。


「片付けが済むまで待ってろ」


僅かに残った理性が相手と己の為に言葉を紡がせる。


「俺はコックだ。前のお客様のテーブルを綺麗にしなきゃ、次のお客様を迎えられねェだろーが」

 マナーは絶対だからな。

そう言って、にやりと笑ってやる。


「あぁ、わかった」


甘い拘束はその熱の名残を身体に埋め込んで、ほどけた。









熱病の様な快楽を埋め込んで行く指。

仔猫みたいに背中に縋り付いた爪が甘い痛みを誘う。


侵入され浸透し、浮かされてはまた何も考えられなくなって。

強く、弱く、雁字搦めに絡め取られた心はもはや息苦しい程。


それでも握った手を放せないのはきっと、愛しさが生んだ素直過ぎる欲望の所為。


      【01: fin.】
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ