CP ーotherー
□恋人たちに5のお題
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「折角、お前の身体の中でまだ俺が知らない部分を発見出来たんだ。
味見させろよ、コック」
低い声で不敵に笑ってみせる。
その笑みのまま、熱い舌が拳の表面をなぞる。
―――くらり。
理屈など通用しない、抑え切れない熱を予感してしまう躰。
…もうどうでも良いや、なんて。
いっそ身を任せてしまえなどと考えている自分はもう相当、終わっている。
「片付けが済むまで待ってろ」
僅かに残った理性が相手と己の為に言葉を紡がせる。
「俺はコックだ。前のお客様のテーブルを綺麗にしなきゃ、次のお客様を迎えられねェだろーが」
マナーは絶対だからな。
そう言って、にやりと笑ってやる。
「あぁ、わかった」
甘い拘束はその熱の名残を身体に埋め込んで、ほどけた。
熱病の様な快楽を埋め込んで行く指。
仔猫みたいに背中に縋り付いた爪が甘い痛みを誘う。
侵入され浸透し、浮かされてはまた何も考えられなくなって。
強く、弱く、雁字搦めに絡め取られた心はもはや息苦しい程。
それでも握った手を放せないのはきっと、愛しさが生んだ素直過ぎる欲望の所為。
【01: fin.】