CP ーotherー

□19才
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今まで口にしたどんな食べ物より






…というか、






今まで唇に触れたどんなものよりそれは、やわらかくて。






何がなんだか分からなくなるくらい驚いた。






 今触れているものは、









 …触れているのか?







 ―――彼女の、唇が?






体が動かせない。動かない。動こうとも思わない。



後からやってくる、じんわりとした痺れ。






 ――何だろう、コレ。






少しずつ体が温かくなって行く。頭がぼうっとしてくる。



何もかも止まっているからなのか、不思議と苦しくはなくて。








“あなたのキスで もう体も脳も溶けてしまいそう”







 どうしたんだろう、俺。





とてつもなく、でも直感的に“いけないこと”をしていると思った。



理由、なんて分からなかったけど。








 今思えば






それはきっと彼女にとっての気まぐれな感情表現だったのだろう。



かなり突発的で、そしてかなり無茶な。



少しの悪戯心と好奇心が交じり合った






 …とても純粋な。







でもその時俺は、






「くいな」






心の底から――――そう、信じられないくらい









 『キモチイイ』、って。













…俺は酷いニンゲンです。









“吐き気がするくらい あなたの心美しいのに”






“何ひとつできないぼくに どうしてキスしてくれるの?”

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