CP ーotherー
□19才
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* * *
「―――――…?」
肌寒さにゆっくりと眼を開けた。
「…起きたか?」
そこはいつもと変わらないG.M.号のデッキの上で。
まだぼんやりとしている頭をゆっくりと回転させてやっと、あぁ、自分は夢を見ていたのかと気が付いた。
「あぁ」
声が掠れている。
理由など解り切っていること。
多分腰に痛みが走るだろう事を予測してゆっくりと体を起こす。同時に肩からするりと何かが滑り落ちた。
―――自分の、服だ。
多分彼が掛けてくれたのだろう。そのちょっとした優しさが彼らしくなくて、サンジは少し笑った。
「何だよ」
怪訝そうに、云ってしまえば子供っぽく目の前のゾロが言う。
二人が30センチ以内の距離にいることが何と無く、とても幸せなことに思えて。
「何でもねェよ」
思わず笑みが零れる。
太い首に腕を回し、出来るだけ体温を感じようとした。
「―――お前と、出逢えて良かったなって思って。」
この船に乗れてよかった。
夢を忘れないで居て良かった。
そんな全ての気持ちを、君への想いと己の強運に感謝を込めて。
「…フン。」
鼻で笑っていても、腕の拘束は緩めない。
そんな君だって、本当は同じ気持ちなんだろう?
“大キライな ぼく 19才”
“大キライな ぼく 19才”
“クロアゲハチョウの様に 誇らしい羽根で飛びたい”
“くだらないって言わないで そんな人生がいいの いいの…”
“クロアゲハチョウになって 誰からも愛されたい”
“九分九厘ないとしても ほんの一瞬でいいの いいの…”
【Fin.】
歌詞の引用:スガシカオ『19才』より