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□if 第1章『夢現』
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確かに俺達は対等な関係ではなかったかもしれない。
何故なら俺はコレットと付き合っていたから。

でも俺はしいなの事が好きだったし、しいなも俺を好きだと言ってくれた。
だから俺はコレットと別れるつもりでいた。
でもしいなは「あたしなんかのためにコレットを傷つけないで」と泣いた。
俺はしいなを泣かせたくなかった。
だからコレットと別れることができなかった。


でも、あの涙は自分の罪を少しでも軽くするための方便だったみたいだ。


なぁ、しいな。
お前俺のこと好きだって言ったよな?
大好きだって言ってくれたよな?
じゃあなんで…
なんで…ゼロスとあんなこと…。



第一章『夢現』



「ロイド。」

「……。」


ある日の宿屋。
誰かが俺の部屋に来た。
誰かなんて顔を見なくてもわかってる。
しいなだ。

「コレット今お風呂に入ってるんだ。もしよかったら…少し話せないかな?」

今日はしいなとコレットが相部屋。
俺はたまたまくじ運がよくて一人部屋を与えられていた。
コレットは長風呂が好きだから、二時間くらいはゆっくり入っているだろう。
いつもならすぐにドアを開けしいなを招き入れるけど…。


「……。」

「…ロイド?今、ダメかな?」


しいながドア越しでもわかるくらいに落胆した声を出す。
その声に耐えられず、俺はドアを開けてしまった。


「…早く入れよ。」

「えへへ、ありがとう!」


お互い顔を見合わせて笑った。
『あの行為』さえ見ていなければ最高に幸せな一時の始まりだったのに…。


* * *



「あ…そろそろコレットが出てくるかも。あたしもう戻るよ。」

「あぁ…。そうだな…。」

「…じゃあ、また明日ね。ロイド…大好きだよ。」


しいなは真っ赤になって俺の手を握って部屋を去っていった。


「……。」


どうしてそんな顔して「好きだ」なんて言えるんだよ。
昨日ゼロスとあんな汚い行為をしたくせに、今日は俺を好きだと言って顔を赤くする。

今はもう、アイツの顔を見ただけで虫酸が走る。

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