オリジナル小説

□桜華学園 
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同じような一軒家が立ち並ぶ住宅街に少女が一人。
カチャカチャと食器の音が寂しい家に響いた。
少女が食事を摂っている場所には、一通りのキッチン器具が揃って3脚の椅子、それと一人用には大きなテーブルがあった。
少女は、コップに入ったオレンジジュースを飲み干すと、水の張った容器に食器を沈めた。
少女の身体には、ガーゼや絆創膏、包帯が至る所に付けられていたが、それですら装飾品に思わせるような顔立ちをしていたため不思議と違和感は感じない。

よく見ると、各部屋は何かしら物が壊れ血が所々に飛び散っていた。赤黒くひび割れている様は時間の経過を感じさせた。

「いってきます」
少女は一言そう言って家を後にした。

テーブルには、黒皮の小さな手帳が一つ。
『桜華学園 一年 bP
      水鏡 那岐』
手帳に貼り付けてある写真は、今の少女より髪が長い



    
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