オリジナル小説

□昔々のおはなし 5
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 目の前に現われたのは、毎日部屋の鍵を閉めて時々食事を運んでくる人間。
「証人2名前へ。この魔女の両親だとゆうことに間違いないか?認めるなら魔女としてお前たちも処罰する」
「・・私達、は・・・・・違います・・・この魔女が勝手に家に住み着いていました。ま、毎日お・・恐ろしくて・・・私達の子ではありません」

解ってる。これが正しい答えだ。


私は 魔女だ


「ではもう1人。調書によると、この者は数年間魔女たちと行動を共にしていた。ということだが・・認めるか?」
「おば・・あちゃ・・・ん」
「私のような者が、このような場所に来るなんて夢にも思いませんでしたわ・・・この子と私は」

この時、初めて人に向けて力を使った。
「・・まったく知りません。あの時は、行き成り家に押し入ってきて吃驚しました」

そして、初めて笑った。心からよかったと思った。

「聴いたとおりである!我が国の繁栄を害するものは即刻打ち首とする。この化け物共を牢に入れ明朝処刑をとり行うこととする!!」
歓声が周りから上がった。おばあちゃんは、自分の喉を皺の刻まれた手で仕切りに擦っていた。
『・・ありがとう』
少女は、風の音に乗せてそう言った



「・・・ねえ、生きてる?」
「・・・こんぐれーで死ねるかよ。お前さっき、婆さん助けただろ」
顔や頭からはポトポトと血が流れている。
狼は、自慢の毛皮が血で固まっている。二人の牢屋は薄い壁を隔てて並んでいる。
「・・おばあちゃん。あのままじゃ、本当の事言っちゃうから・・・・おばあちゃん何も悪くないし」
「俺達だって何もしてねーだろーが」
「してる。ここに存在(い)ることが罪だよ・・・世界が違うんだよ・・・・」
「・・じゃあ、このまま大人しく奴らに殺されてやんのか?」
「まさか・・・もう誰かを気に掛ける必要も無くなった。私は、魔女として生きる―― 一緒にくる?」
もう少女の瞳に闇は映っていない。

「――なら俺に名をよこしな。魔女・・今日から俺はお前の使い魔だ」
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