オリジナル小説

□昔々のお話6
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魔女も、基本は人と同じです。


朝の水汲みの時間、朱が鴉を起こします。


「鴉、朝だぞ・・・・鴉?」
横たわる鴉の頬は、紅色に色付いており息遣いも心なしか荒くなっている。
「・・頭痛い・喉・・渇いた」
「他に痛いとこ無いか?・・おいっ寝るな、俺を人型にしろ!」

一瞬光が起きると、腰まで流れる真っ赤な髪と全裸の美青年が現れました。

長い髪を鬱陶しそうにかき上げて少女の額に手を置く。
「完全に風邪だなこりゃ。こんなときに限って薬草切らしてたな、クソ」

朱は、部屋の隅にかけてあるシャツとズボンを手早く着ると、木製のバケツを持って駆け出した。

「熱出すと異常なまでに不安定になるから、鎮静効果のある薬草も摘んでこねーと・・」

その時、鴉は寝惚けていた。
「あかぁ、水―。あかぁ、居ないのー?あかぁ」
小さい光が花火の様に、鴉の周りを弾けて回っています。
その光が、柱に当たるとそこに焼け焦げが出来た。

「あったっ!コレで最後だな。急がねーと家が火達磨になっちまう」
案の定、大木の下に建っている小屋からは煙が上がっていました。

「鴉っ待て俺はここにいるぞ!」
「あかぁ?」

いつもの様な凛とした瞳は、とろんとしていてその辺にいる少女と何ら遜色ありません。

「ほら、コレ飲んでおとなしく寝とけ」
「う・・ん」
鴉を寝かしつけると、朱は火の付いた布を水に浸した。
「また派手にやらかしたな」
部屋に飾ってあった調度品は、殆ど燃えてしまっていた。
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