おねがいキスして。10題
□1、あなたからキスして。
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「六郎サンに気づかれるような場所で、寂しそうにしてたらいいじゃねーか。」
まるで模範解答のような
アドバイス。
そのアドバイスをさっそく実践するべく。私は幸村様の部屋の近くの縁側で六郎を待ってみた。
外の景色をみていると
なんだか寂しさが増す。
世界にひとりぼっちみたいだ。
「六郎…。」とぽつりと
つぶやく。
「なにか用でもありますか?」と六郎の声が返ってきた。
「いや…。用はないん…だけど。」
と、視線を泳がせる。
「ほら、早く部屋に戻りましょう。風邪をひきますよ?」と六郎は私の手をひいてくれる。
「六郎…。」
「なんですか?」
「甘えていい?」
少しの沈黙。
六郎は私をぐいっと引き寄せ、唇にキスをした。
「こうしたかったんですか?」
(あなたから、キスをして)