ねぇ、嘘つき
□知ろうとしないでいて
1ページ/1ページ
-教室-
「おはよ」
「おはよう」
慧佑は香に言った
「…ねぇ,何か里枝変じゃない?慧佑君何か知ってる?」
「………否、知らないな」
嘘をついた
「そっか…」
香が目をふせた
「俺より浅沼の方があいつの事知ってるんじゃないの?」
慧佑にそう言われ、香はぎゅっと唇を噛んだ
「…知らないよ、里枝が悲しそうな理由も、宋介君と別れようとしてる理由も…」
「……」
それは言えないだろうと
慧佑は思った
宋介が香が好きだと気付いたから
と言ってしまえば、どうなるか
悪い事しかおこらない
「…まぁ、言ってくれるまで待つよ」
香が笑ってみせた
「…そう」
そんな日はない
絶対に
あったとしても…
それは―
慰めることの辛さ