祈りむなしく届かんことを

□必要のない救世主
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「…りつ、何してんだ」


開いていた扉の向こうにいる青年が言った


「!きょう…」


りつの力がゆるんだ


「そいつを殺してどうする」


きょうの目が二人をとらえた


「っ…」


りつが,しつの首をしめるのを止めた


「ごほっごほ…」


起き上がったしつが、入ってきた空気に、むせる


「……………」


りつは下唇を噛んだかと思うと、いきなり立ち上がり部屋を飛び出した


きょうは、りつが走って行った方を見ていた


「な…んで…いつも…いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも…
死ねると思った時に来るのよっ」


半ば叫ぶように言った


「わかってるだろ」


「……っ…」


-監視カメラ


この部屋のいたる所に、つけられている


しつは、そのせいで死ねずにいるのだ


自殺をしようとしても、誰かが部屋に来て助ける…


否、生かせようとするのだ


しつを利用するために


「普通、道具を自分から壊さないだろ?」


「……え」


突然の例えに驚く


「道具は使ってなんぼ…だろ?」


きょうが軽く微笑んでみせた
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