祈りむなしく届かんことを

□新たな傷が増える理由
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「…んっんん」


目を開ける


視界が微かにぼやける


(あれ?いつの間に…私…寝てたんだろ?)


昨日の事を思い出す


(あーそっか…あのまま、寝たのか)


ゆっくり起き上がり,時計を見る


―午前6時23分―


「…あ」


扉を叩く音がした


「…どうぞ」


どうせ、中からは鍵は閉められないのだ


ノックする必要も、しつが断る権利もない


「失礼」


「……なんの用?」


入ってきた女性―りつの側近の燕が、しつの前に座った


「りつ様が今週は学校に行きたくないと」


「代わりに私に行けと?」


「そうです」


しつは,小さく溜め息をついた


「解った…解りましたと伝えておいてください」


「かしこまりました」


燕はそう言うとしつの部屋から出ていった


また,だ


昨日、言っていたことからして、またあの病気だろう


りつは


いつもいつも…


自分勝手で傲慢で…


溜め息をついた


あまり気は進まないが、行かないわけには行かない


行かなかったら、後で酷い仕打ちを受けるのだから


しつは、学校へ行く準備を始めた
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