祈りむなしく届かんことを
□信じる心を失っても
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しつが勝手に外に出た日から数日がたった
あの後,屋敷に戻ったが誰にも何も言われなかった
まず気付かれてもいなかった
しつは,良かったと思っているが実際おかしい事だ
後神はしつの存在を隠したがっている
それなのに部屋の鍵が開いていたり,しつがいない事に気づかない訳がない
しつはそこまで考えを廻らせていなかった
「しつっ」
ドタドタと足音が聞こえた後,凄い勢いで扉が開いた
「…りつ?」
何も言わずにりつがしつに近付いて…
「!」
しつの頬を叩いた
「何を…」
「何勝手してくれちゃってんの?」
睨まれながら言われても何の事を言っているか解らない
「何の話?」
「外に出て会ったんでしょ?竜に」
息をのんだ
「何で…それを…」
「聞いたのよ」
「誰に?」
りつは少し黙った後,笑いながら言った
「きょうよ」