祈りむなしく届かんことを

□釈然としない心
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「ん…?」


目を開ける


いつもより周りが明るい気がする

(そう言えば私…竜君の)


思い出して何かが違うと感じた


(ここ…)


「しつ?起きたか」


「きょっう…」


(なんで?)


理解が出来なかった


何故きょうがいるのか


まずここは何処なのか


「ここ…は?」


上半身を起こしながら尋ねる


「俺んち」


「きょう…の?」


軽く頷かれる


「何で?」


「…別に気にする様な事じゃねーよ」


どこかぶっきらぼうな答え方


「そう…」


少し不安になる


きょうの目が冷たかったから


「……」


どちらとも話そうとせず,ただ沈黙が流れた


「…」


きょうが突然立ち上がり,何処かに行った


(?)


首を傾げる


(どうしたんだろ)


よく解らない


きょうの言動も行動も


「ん」


頬に感じた温かい物


「…何コレ?」


コップを受けとりながら尋ねた


「ココア」


きょうがコップに口をつけながら答えた


「…ココア」


恐る恐る飲んでみる


「…甘い」


口に広がる濃すぎない甘さ


なんとも言えない感じが口に残る


(あんまり,好きじゃないかも…)


出してくれた,きょうには悪いが


「ねぇ,きょう」


「ん?」


「こーひーとこうちゃって何?」


「は?」


「天浦君が…」


続きを言おうとして止めた


きょうの目が異常に冷たかったから


「しつ,お前寝ろ」


「え?」


「熱だしてんだから」


有無も言わせぬようにきょうが言ってきた


「…解った」


何か釈然としなかった。







信じる心を失っても

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