祈りむなしく届かんことを

□頬をつたう涙は
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今日は誕生日


といっても,しつに得な事はないが


否,今回は1つあった


竜に貰った誕生日プレゼント


雀が死んでからはプレゼントを貰うこともなかった


竜がくれたのは髪飾りだった


つける時などないのに


ふと,足音が聞こえた


まさか…


と思う


「きょう?」


呟くように尋ねる


消去法で言えばきょうしかいないのだからきょうで間違いはない


でも,散々避けている相手が訪ねてくるのかと思ったのだ


「…」


尋ねても返ってくるのは沈黙だけ

「帰って。会いたくない」


扉に向かって叫ぶ


が引き返す足音は聞こえない


何で…


立ち上がり扉の近くに行き,もう一度言おうとしたとき


扉が開いた


「会いたくないって言ったよね」


扉の向こうに突っ立ったままのきょうにつげる


「…」


きょうは何も言わずに視線を下に向けていた


「…さよなら」


そう言って扉を閉めようとした時きょうに腕を捕まれて机にうつぶせに押し付けられた


「何を…」


文句を言おうとしたとき下半身に鋭い痛みを感じた


「っあ」


声にならない声がでる


何で…
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