祈りむなしく届かんことを
□知るべきこと
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聞こえてきた足音に顔を上げる
「しつさん,きょうさん」
「…燕さん」
何故か燕が立っていた
「何しに?」
「此処に入れられた意味が解っていらっしゃらないかもしれないと思いまして」
「解っているつもりです」
そう答えたのはしつだけできょうは口を軽く開けていた
「きょうさんは…解っていないようですね」
「あ…はい」
きょうが迷わず頷く
「では此処に入れられた訳を」
「私達の母親が逃げたからですよね」
「あら,知っていたんですね」
「まぁ,散々聞かされましたから」
「それなら俺も聞いたことあります。世話役だった男と駆け落ちしたんですよね。確か」
「えぇ,そうです。りつ様としつさんを産んでからすぐに。まだその時はしつさんの様に軟禁はしていませんでしたから」
「母のせいで軟禁が始まったんですね」
「…あの」
きょうが小さく言った
「何でしょうか?」
燕がきょうを一瞥した
「しつが軟禁されてた理由は解りました。でも,俺らが監禁された理由は何ですか?」
もともとの話はそれだったのに軽く話がそれていた
「それは…」