祈りむなしく届かんことを

□一掬の涙
1ページ/2ページ

「っうっぅ」


しつの目から流れる涙はとまらない


「…」


きょうがしつの背を撫でる


二人はホテルにいた


流石にあの場所からは遠い所にはしていた


がバレるのも時間の問題だろう


「しつ」


きょうに名を呼ばれ,ゆっくり顔をあげると頭を撫でられた


突然の事に驚き肩をふるわせる


「なっに?」


何も言わず背に手を回された


涙はまだ流れるが少なくなっていたが


その状況で止まったままきょうが動かなくなった


「…きょう?」


首を軽く傾げる


「あ!」


慌ててきょうが手を離した


「俺っ何か買ってくる」


そう言ってすごい勢いで走っていった


「…」


何がしたかったのかよく解らなかった


『蜜を育てる事になって…焔に先立たれました』


ふと紅の言っていた事を思い出した


私も同じ?


きょうを失う?


違う…


きょうはりつを想っているのだから


私には何にもない


このコ以外…何も


お腹を抱いた





『あっはははは』


壊してやるよ


修復も出来ないほどに―
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ