祈りむなしく届かんことを
□必要のない救世主
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「っ……」
きょうの言いたい事は解る
道具は使ってこそ意味があると
使わない道具は最初から、手元に置いてなどおかないと
ようするに…
「…………」
しつが,立ち上がり扉に近付いた
そして、きょうを廊下に押し出して扉を閉めた
扉に,もたれかかる
遠退いていく足音を、ぼんやりと聞いていた
「…………」
足音が聞こえなくなると、ふらふらと,歩いてベッドに倒れこんだ
(………道具…か…)
先程、きょうに言われた言葉が頭を支配する
解っている
道具としてしか、思われていないことくらい
りつの代わりに、子供を産む機械ぐらいにしか思われていないこと…くらい
「……はぁ…」
胸がずきずきと痛んだ
苦しくて…苦しくて…
誰にも何にも、人間扱いされていないことが
(……死ねたらいいのに―)
いつもいつも…思うこと
一番の………願い
新たな傷が増える理由