祈りむなしく届かんことを
□新たな傷が増える理由
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(また…来てしまった)
教室の前で立ちつくす
ここに来るのはもう何度目だろう?
りつが行きたくないと言う度に来なくてはならない
テストの時は当たり前
嫌いな人と席が近くにになった時は,席替えをするまで代わりに学校に行かされた
後は…
病気になったとき
今までの事を思いだし、ため息をついたとき,後ろから肩を叩かれた
「りつ,はよ」
「へっ!?」
突然の事だったため,驚いた
「……え?そんな驚くこと?」
振り返ると,困ったような表情をした男子生徒がいた
(…あれ?何処かで見たことがある気が…)
しつは首を傾げた
「りつ,どうした?」
しつの行動を不可解に思ったのだろう,青年が尋ねてきた
が,しつは答えようとせず依然首を傾げたままだ
「…あ!解った。りっ」
りつの…
と言おうとしたが口を誰かの手で塞がれ言えなかった
「ちょっと,来てもらおうか,竜こいつ借りるぞ」
「あっああ…」
しつは口を塞がれたまま、連れていかれた