祈りむなしく届かんことを
□新たな傷が増える理由
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「何するのよ。きょう!!」
しつはきょうに口を塞がれ,空き教室に連れてこられていた
先程ようやく,手を離してもらった
「…何でお前がここにいるんだ?しつ」
「…りつ様のご命令です」
口をとがらせながらそう言うと,きょうが睨んできた
「お前は,りつの命令だったら何でも聞くのか?」
「…だって私に選択権ないし」
そう答えたらため息をつかれた
「で?りつは何で来たくないって?今日の教科が気にくわない?教師の顔を見るのが嫌?小テストあったか今日」
イライラしたように、きょうが言った
(……りつって…)
「病気です」
「…風邪?」
顔を横にふった
「恋の病?」
きょうが嫌そうな顔をした
「またかよ」
「うん」
しつは自身の声に合わせて頷いた
「……だからお前がいると」
「そういう事です」
しつはまた頷いた