祈りむなしく届かんことを
□ターゲットはいい人?悪い人?
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「何すんのよっバカ」
授業後,屋上でしつはきょうを怒鳴った
「…お前が気付いてなかったからだろうが」
「へ?何を」
しつは後頭部に当てられた意味を解っていなかった
「竜に呼ばれてたのだよ」
「…あ・・・うん。全く気付かなかった」
「りつって呼ばれてたからか?」
しつは眉をしかめた
「違う,全く…」
「気付かなかったんだな」
そう言われて,頷いた
「双子のくせして,何で似てねーかな」
「天浦君って…」
しつはきょうの呟きに気付かずに言った
「え?何か言った?」
「…いーよ,別に。竜がどうした?」
「いい人?」
しばし沈黙が走った
「は?」
ようやく,きょうが言った言葉はそれだった
「否,どういう人かなーと思って」
「別に,そう言う事は聞いてねーよ。何であいつの事,聞くわけ?」
「え?りつの次の人だから」
「…次の人?あぁ,病気のか…って竜なのか!?」
きょうが,つかみかかる勢いで聞いていた
「うっうん…写真見せられたし…間違いないよ」
しつは昨日の事を思い出しながら言った