祈りむなしく届かんことを

□殺し殺され生殺し
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「…何でいるの?」


部屋に入ると,りつが中にいた


何故?


りつはベッドに,横なっていた


…何かを持って


「あー…しつ?」


「…他にここに来る人がいる?」


りつは鼻で笑った


「そりゃそーね」


「…で,何で…」


「あんたさー」


しつが,話そうとしたのを遮ってりつが言った


「…」


(何で…ここまで…自分勝手なの?)


「まだ,きょうのこと好きなんだ」


りつが体を起こしながら言った


「は!?」


驚き


浮かんだのはその言葉だけだった

(…何を言ってるの?この人は…)


「こんな写真まだ持ってるなんて…重っ,これ小学校の時のでしょ?」


机の奥に隠していたはずなのに…

りつの手にはしつ,りつ,きょうがまだ小学生の時に撮った写真が握られていた


「っ…返してよっ」


りつに掴みかかる


「おっと」


が,簡単にかわされる


「馬鹿じゃないのー?」


嘲笑ぎみに言われた


「っ」


写真をぴらぴらとされる


「りつっ」


金切り声で叫んだ


「………うるさいなー,返せばいいんでしょうが。返せば」


りつが写真を,さしだしてきたのを引っ手繰った
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