祈りむなしく届かんことを
□揺らぐ心に鍵をかけて
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〜放課後〜
「天浦君…」
帰り際,竜に声をかける
「ん?どうした,りつ」
「あっの…ちょっと…いい?」
「今?」
「…うん,すぐに終わるから」
竜は少し考え込んだ後
「少しだけなら」
と言った
そう言われた時,しつは安心もしていたが不安も感じていた
これで…
良かったはずなのに…
何故か,不安になって
結果はまだでていないのに
何故か,安心して
「…そっそれじゃ…」
〜
しつ達は,なるべく人気のないところに移動した
これは,りつの代わりに告白する度にやってきた事だ
それは小さい時に,りつに読ませてもらった漫画からの情報である
それ以来,漫画,ドラマなどの情報源を見ていないため,新しい情報はえられない
だから,古いままだ
「…で何?」
竜がしつにそう尋ねた
…ここに来たら大体予想がつくのではないだろうか?
しつは俯いていた
「…」
決意したはずなのに,言葉が出てこない
「………付き合ってください」
小さくそう言った
「…え」
「あっ何処かに的な意味じゃなくて…れっ恋愛的な意味で…」
どんどん声が小さくなっていく
「……えっと」
竜の声が聞こえた
「きゅっ急に言った事だしあっ明日答えてくれたら嬉しいですっ」
「え?あ…」
「そっそれじゃまた明日!」
「あ,あぁ…」
しつは逃げた
返事を聞くのが怖かったから
明日には,否でも結果を知ることとなるのに…