祈りむなしく届かんことを
□信じるべきこと。
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「…え」
「え?」
重なった声
しつはポカンと口を開けていた
(何で?何で,竜君がいるの?)
竜も同様に驚いていた
しつが此処に居ることに驚いているのか
それともまた別の事に驚いているのか
「えーえっと…まず,何してるの?しつちゃん」
「あ…」
しつの体制はいわゆる四つん這いで人に見られて嬉しい体制ではない
(恥ずかしい)
しつは何もなかったかのようにその場に正座した
「………」
沈黙が続く
(えっとー)
さあ何を言うべきか
「…竜君はどうして此処に?」
先程の事をなかったことにしたいのだろう
しつが満面の笑みを浮かべた
「俺は…此処がりつの部屋だって聞いて」
(へ?)
驚き過ぎて声も出なかった
「誰から聞いたの?それ」
竜の口が動く前に聞こえてきた声
「しっつ…」
…りつ
竜の後ろに見えるりつはとても悲しい表情をしていた