L logbook
□番外編 『言うな』
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「ヒーロー気取りか?」
「黙れ。」
紅音は向きを変えて、必死に走った。
涙をこぼしながら、それでも止まることはできない。
後ろで怒鳴り声が聞こえる。
それでも振り返ってはいけない。
ローが言った。逃げろと。
あそこにいたら、振り返ったら、とまったら、ロー達の足を引っ張ってしまう。
紅音はそのまま家まで走って帰った。
ローがなぜ誰にも言うなといったのか。
その理由を紅音は悟ってしまった。
だから、警察に駆け込むこともできなかった。
その夜。紅音は一晩中泣き続けた。
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