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□LogX『for a long time 〜もう一度〜』
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「くそっ!」




どうせ近づいてこないだろうと思ったが、それが少々計算違いだった。


白ひげの旗を見て近づいてくるとは……。


マルコが敵船に赴いて戦っていたが、仲間が数人海へ落ちた。




「うわぁーーーっ!!」



能力者の一人が海へ落ちる。



「しまったっ!」





焦りの声が響く。

そのときだった。



二つの船の間の海が突如大きく盛り上がる。




「なんだ!?」




色を失った呟きがマルコとエースの耳に届く。


水を弾き飛ばして現れたのは長大な龍。

銃弾は龍の身体をすり抜ける。



龍は身体をくねらせ、あぎとを開き白ひげに襲い掛かっている海賊船に牙を剥く。


船に龍が激突した瞬間、船は木っ端微塵に砕け海へ沈んだ。





「隊長――――っっっ!!」





そして敵船にいた白ひげの一味は、逃げることもかなわずにそれに巻き込まれた。


絶叫が響いたそのとき、龍が頭を持ち上げ白ひげの船を見下ろす。


その頭の上から、いくつもの人影が顔を出す。

海に落ちた白ひげの一味も、敵船にいた白ひげの一味も、全員が龍の上にいた。





「……これは」




唖然としたマルコの呟きに、エースが眉間にしわを寄せる。


それをよそに、龍は額を白ひげの船に近づけ頭の上の人を下ろし、海の中へ消えた。



それと同時に、殺気が湧き上がる。


その正体を見つけたのは、敵船の船長。




「どういうつもりだぁっ!!!」



怒号一発、殺気に染まった視線がモビーディック号のルーフの先に注がれる。



「殺してやるっ!!」



これに対してルーフの先にいたそれが、もぞりと動く。


ひとつは獣、ひとつは人の姿に見える。


白ひげの一味も眉をひそめる。



ぎゃおぎゃおと吼えている船長を尻目に、獣がくすりと笑って首をふる。





「殺す……だって。どうする?」

「……戯言だろう。」

「だろうな。」




人の方が呆れたように返せば、当然のように首肯する獣。




「奴が死ぬまで五秒前。」



獣が呟き、口端をあげる。



「四秒前……。」



それを引き継ぐように、人の方がカウントを始める。



「三……。」



獣がルーフの先を蹴り、海の中の船長めがけて跳躍する。

そのまま降下していく獣。



「二………………一……。」



獣がくわりと牙を剥き、船長の首もとめがけて叩きおろす。



「零……。」




獣の姿が海の中へ消えるのと同時に、船長の首が飛び体が沈んでいく。



白ひげと隊長たちを除いたクルーが青ざめる。


しばらくしてさっきと同じ龍が獣を頭に乗せて猛り出て、人のもとまで獣を運んだ後に掻き消えた。






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