中編用

□W
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三日後の夜。

砂浜に一人座って、海を眺めていた。




暗黒に染まる海は、恐怖を人に抱かせる。


が、視線を上げれば満天の星空だ。

こちらは人に願いや憧れを抱かせる。


相反する二つの感情を抱きながら、ただ静かにその景色の境目を見ていた。




「……夜風は身体に悪いよい。」

「あ、マルコ。」



あれから三日の間に、白ひげ海賊団とかなり友好を深めた。



「何見てるんだい?」

「水平線。」

「見えるのかい?この闇の中で。」

「星がなくなるところぐらいかなって感じ。」



「……勘か。」

「そう。」




「「…………。」」






「……マルコはさ。」

「よい?」

「恐怖を抱かせる夜の海と、願いや憧れを抱かせる星空。どう思う?」

「どう思う、の意味がわからねぇ。」

「相反する二つの感情が混ざる水平線ってさ、どんな感情を抱かせるのかな。」

「俺にはわからねぇよい。」

「わからないしか言わないのかよ。」

「わからねぇもんはわからねぇ。」

「じゃあ別の質問。」

「なんだよい。」

「マルコの今の願い事って何?」

「願い事?」

「今、一番叶えたい事ってなにってきいてんの。」




「……叶えたい事か。」





考えるようにじっと遠くを見つめるマルコ。


「俺の願い事の前に、聞かせろよい。」

「なにを?」

「お前は、あの水平線がどんな感情を抱かせると思うんだい?」

「私は……。」




なんだろう。

恐怖と願いの狭間。

願いとは人の運命を左右するものだ。

私にとっての恐怖は『死』だと思う。

死と運命。

その狭間は。



「感情じゃないけど。」

「何でも言いよい。答えが聞きたいだけだい。」



「……余命(いのち)かな。」

「余命(いのち)?」

「そう。恐怖は私にとってたぶん『死』で。願いは運命を動かす。だから死と運命の狭間は、余命(いのち)かなって、思う。」

「余命(いのち)か。」






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