中編用
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「ほら、答えたよ。マルコの答えも聞かせなよ。願い事、なんなの?」
「俺の願いは……。」
その後続いた言葉に、私は息を詰めた。
「なんて顔してんだい。」
「い、や、だって……。」
「そろそろ戻れよい。夜風は身体によくないよい。」
そう言ってマルコは踵を返して歩き出す。
しかし、途中で止まって振り返る。
「言い忘れてたよい。」
「なに、を?」
正直、まだ動揺してる自分がいる。
「お前の身柄の行方が決まったよい。」
心臓が心拍数を上げる。
この先に待つものが『死』なのだろうか。
ここで運命は途切れるのだろうか。
「お前は、白ひげ海賊団に入ってもらうことになったよい。」
「は?」
「所属までは決まってないが、戦闘人員としての加入が決まった。お前の船の奴らも、乗りたい奴は乗せてやれ、だとよい。」
「え、や、ちょ。」
「明日には、船を出すよい。じゃあな。」
「ま、待って!」
咄嗟に追いかけてその手を掴む。
「なんだい?」
「もう一回だけ、願い事、聞かせてくれない?」
「…………。」
「お願い。」
「俺の願いは、お前と一緒に死までの余命(いのち)を刻むこと。」
「……嘘、じゃない?」
「んなわけねぇだろい。」
「冗談でもない?」
「違ぇっつってんだろい。」
「本当に?」
「信じれねぇなら、襲ってやろうか?」
「…………。」
そ、それはどうだろうι
でも。
「わ、たしも、マルコと。」
「顔が赤ぇよい。」
「う、うるさいっ!」
「それがお前の返事かい?」
首肯を返す。
「いいんだな?」
「い、いいってば!」
「……顔、あげろよい。」
「え?」
疑問符とともに固まっていると、指で顎を持ち上げられた。
青い瞳がじっと見つめてくる。
羞恥が襲い、逃げようとした刹那。
腰をたくましい腕に引き寄せられ、優しいキスが落とされる。
優しいキスが終わると、離れたいという気持ちが消えていた。
すがり付けば、優しく抱き寄せられる。
「離したくねぇよい。」
「離されたくない。」
「誘ってんのかい?」
「知らない。」
マルコがふっと笑ったのが、わかった。
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