中編用

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「………………。」





何かが聞こえるが、判然としない。






「………………。」






誰かが、叫んでる?





「……………………っ。」





何をそんなに必死に叫んでいるのだろう。






「……………。」






疲れているのに、もう眠りたいのに。

私の耳はその声を必死に聞き取ろうとしている。






「……………きろ。」





あと少し。





「…………おきろっ。」





おきろ……?

あぁ、この人は『目を覚まして起きろ』って言いたいのか。

でも、もう起き上がる体力なんてない。






「…………おきろよい。」





あ、なんか聞き覚えのある口調だ。

なにか、とっても大事なこと、忘れてる気がする。

起きれば、わかるかな?

せめて、目だけでも開ければ……。

必死の思いで目蓋を開けば、そこには見覚えのある金色の髪の毛。






「……紅音っ。」





悲痛な声にも聞き覚えが……。


き・き・お・ぼ・え?


違う。

同じことを前にも繰り返した。

まったく同じことを繰り返してる。

あの時、私は何を言ったっけ?

た、しか。





「…マ……ルコ…さ…。」




そうだ、マルコさんだ。



必死に助けようとするマルコさんに、何度も謝って。

ひとつだけお願い事をして。

そのまま意識を失って。




私、死んじゃった?


にしては、マルコさんのパイナップルがリアル。





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