中編用

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そこから店に着くまで、一言もしゃべらなかった。



着いた店はネオンで光り輝く高層ビル。

この島には全くあっていない外装だ。




女について部屋に入ると、ぱたんとドアが閉まる。

そうしてから、名前も聞いてないのをふと思い出した。





「……名前ぐらい教えろよい。」

「聞いてどうするの?」

「教えろ。」

「……紅音。」

「ここの金は?」

「気にしなくていい。」

「そうかい。」




部屋には大きめのベッドとバスルーム。






「お風呂、入る?」

「時間がねぇんだよい。」

「あ、そ。」

「さっさと脱げよい。」

「それが女を抱くあなたの態度?」





苛立っていた俺は、紅音を抱き上げてベッドに落とす。





「きゃぁっ!?」

「そういう声も出すのかよい?」

「いちいちむかつく人。」





挑発するように言えば睨み返してきた。


そして、俺の瞳を見て青ざめた。





「悪いねい。俺は切れてんだ。優しくするつもりはかけらもねぇよい。」





苛立ちのままに紅音の服を剥ぎ取る。





「ぃやぁっ!!」





悲鳴には耳もくれずに足を開かせた。






「初めてか?まぁ、その歳でやってるのもどうかと思うけどねい。」

「う、うるさいっ!」





紅音の反論を無視して、その小さな身体を反転させる。

突き出されたそこは、薄っすらと濡れ始めていた。





「いい眺めだよい。」

「…………っ!!」





紅音の身体がふるりと震える。

なぜそこまで脅えるのか。

誘ってきたのはそっちのくせに。

わざと襲わさせたとすれば何かあるはず……、ん?



なんだ?


冷静さを取り戻し始めた俺の目が捕らえたのは、身体中の傷痕。






「お前、この傷…………。」





震えていた紅音の身体が、よりいっそう大きく震えた。


襲わせたことといい、まるで何かに追い詰められてるような……。


そんな思考の中で思い出したのは、自由を忘れた紅音の表情。

なぜか怒りが湧き起こり、紅音を抱き起こして問い詰める。





「この傷は何だよい?誰に付けられた?」

「こ、れは……。」

「なんでこんな傷を付けられた!」





叱責に身をすくませる紅音が痛々しい。

逃げようとする小柄な身体を押し倒して逃げ場を奪う。

今、俺がこの傷について追求を止めれば、後に戻れない事態になる。

これは、ここまで生きてきた俺の勘だ。





「誰に、やられたんだよい?」

「なんで、そんなこと聞くの?傷が抱くことに関係あるの?」

「いいから答えろい。」

「嫌だって言ったら?」

「……そしたら、もう抱かねぇ。このまま帰るよい。」





そういえば、紅音は折れるだろう。

俺に抱かれることを求めているならば、絶対に折れる。





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